「大学院・学部合同FDとeラーニングに関する講演会」概要報告
高等教育開発センターでは、平成2009年1月30日(金)に、東京農工大学大学教育センターの加藤由香里先生と,東京農工大学総合メディア情報センターの江木啓訓先生を講師としてお招きし、ファカルティ・ディベロップメント(FD)とeラーニングの連携による実践に関するFD講演会を開催しました。
なお、本講演会は、平成20年度特別教育研究経費(政策課題対応経費)課題「授業のオンディマンド化及びモデル授業の実施に基づく教育の質の改善に向けた取組み」の事業促進のために実施しました。
講演会は、教養教育棟32号教室(旦野原キャンパス)、医学部看護学科第211講義室(挾間キャンパス:遠隔授業システムによる配信)を会場として16時30分より始まりました。
講演に先立って、西村センター長から開会の挨拶と講師の加藤先生、江木先生の紹介がありました。引き続き、嘉目理事から、先進的な取組の紹介によって、我々の今後のために有益な講演が頂けるものと期待している旨の挨拶がありました。
講演1 FD推進の立場から―ICT推進のためのセンター連携とeティーチング・ポートフォリオ開発―
講師 加藤由香里(東京農工大学大学教育センター准教授)
講演は、①大学教育センターの紹介、②ICT利用のためのセンター連携、③eティーチング・ポートフォリオの紹介の3点から行われました。
最初に、大学教育センターの概要とセンターが実施するFD活動についての説明があり、続けて、教育評価の実施方法、FDセミナー・ワークショップの実際、センターからの情報提供や情報発信等が紹介されました。
次に、ICTを活用したFD活動の促進を目的として、大学教育センターと総合情報メディアセンターの連携によるセミナー等の紹介がありました。二つのセンターが連携することで、大学教育のPDCAサイクルが回せること、研修と日常の教育活動が結びつくこと、教育改善活動が教員間への横の広がりを見せること等、実際の事例が紹介されました。また、FD活動はピアレビュー型に、そして学科・専攻中心の教育改善へ展開されるとの提言がありました。
第3の話題はeティーチング・ポートフォリオの紹介でした。これは、授業の動画と音声を記録し、また、その記録を再利用することで、教員集団による授業研究や個人による授業改善に資するシステムであり、具体的な授業場面の提示と共にシステムの説明がありました。
講演の後、授業が改善された事例や、全学FDに対するセンターの位置づけ等に関する質疑応答があり、加藤氏による講演が終わりました。
講演2 eラーニング推進の立場から―ICT活用促進のための教育支援―
講師 江木啓訓(東京農工大学総合情報メディアセンター助教)
学内に設置された二つのセンターが連携することでeラーニングを推進するとの観点から、総合情報メディアセンターの果たす役割についての講演でした。先の講演と同様に、総合情報メディアセンターの概要説明の後、eラーニングに関するセミナーの実施例が紹介されました。
ここで紹介されたセミナーは、①講義と実習による約3時間のセミナー、②一週間連続した昼休みの日替わりメニューによるセミナー、③演習を含めた1時間程度のセミナーというように多様な形式の試みでした。eラーニングに関するセミナーについては、参加者のレベルに合わせた内容設定、開催時期、セミナーの形式等の決定に難しさがあり、検討が必要であるとのことでした。eラーニングに関してはITスキルを持った学生アシスタント(TA、SA)の養成によって、大学全体のITスキルを上げるとの提言もありました。
また、オンラインによる授業公開の取り組みについて紹介があり、授業観察を日常的化するための教室の整備や、授業記録の蓄積システム等、センターの取り組みが紹介されました。
講演後の質疑応答では、eラーニングを利用した社会人学生の指導や学生の評価、教員の教育評価導入への経緯、eラーニングセミナーのあり方が取り上げられました。
お忙しい中、参加いただいた先生方にはお礼申し上げます。ありがとうございました。
(更新)2009年3月31日