ティーチング・ポートフォリオFD講演会・ワークショップ
高等教育開発センターでは、平成21年7月30日(木)13時10分より、学部・大学院合同FDの一環として、 「ティーチング・ポートフォリオFD講演会・ミニワークショップ」を開催しました。講師として大学評価・学位授与機構 准教授の栗田加世子先生と大阪府立工業高等専門学校 准教授の北野健一先生をお迎えして、旦野原キャンパス教養教育棟第32号 教室をメイン会場として実施し、挾間キャンパス211号教室へは遠隔授業システムで同時配信しました。
また、地域連携研究コンソーシアム大分の協賛により、大分工業高等専門学校、別府大学、立命館アジア太平洋大学、大分県立看護科学大学、大分県立芸術文化短期大学、本学リサーチファクトリーへの配信を試みました。
講演会に先だち、本学教育担当理事嘉目教授による挨拶と、司会者からの講師紹介が行われました。
[講演1]ティーチング・ポートフォリオとは
講師:栗田佳代子(大学評価・学位授与機構 准教授)
栗田先生の講演では、高等教育の現状を踏まえたティーチング・ポートフォリオ(以下、「TP」) の導入の意義・特徴・構成要素等が解説されました。また、TPの有効性が、高等教育の説明責任と教育の質の保証の見地から、カナダ、アメリカの現状の紹介 とともに説明されました。TPの作成方法とともに、TPとは自らの授業実践の事実集積記録とそれに対する自己省察の文章から構成されるものであり、教員自身の授業改善だけでなく、教員組織集団での教育資源の共有、教員の教育評価にも有効との指摘もありました。
[講演2]事例報告 ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップを開催して
講師:北野健一(大阪府立高専 准教授)
次に、北野先生から大阪府立高専でTP作成ワークショップを開催した経緯とTP作成による教育改善の事例が報告されました。先生ご自身がTPの作成を始 めた経緯、高専での普及の呼びかけ・ワークショップの開催とその効果、高専独自の評価項目の必要性等について具体的に報告されました。特に、ワークショッ プの開催により「メンターの立場で参加したことで多くのことが学べた」との感想や、「TPは教育者にとっての『人間ドック』」との示唆は印象的でした。
[ミニワークショップ]ティーチングポートフォリオの作成
指導:栗田佳代子(大学評価・学位授与機構 准教授)
講演の後、栗田先生の指導により、フロアの参加者が二人一組となって、TP作成のミニワークショップを実施しました。最初に、各自が授業の構想・実施 について心がけていることを、できるだけ多く付箋紙に記入しました。次に、それらの付箋紙をKJ法により分類・整理することで自己の授業観を可視化しまし た。その後、相互にコメントを行い、自分の授業への自己省察を深めるという内容でした。十分な自己省察のためには不十分な時間でしたが、TPの有効性を実 感できるワークショップとなりました。
ワークショップの後、フロアの参加者から質問を受けました。
主な質問は、忙しい大学の現状を考慮し、連続した2泊3日のワークショップを、たとえば毎週何曜日というように時間を区切って実施できないのか、というものでした。栗田先生からは、深い自己省察のためにはまとまった時間が必要であり、TPの必要性を認めるならば、その時間の確保を最優先すべきではないかとの回答がありました。
最後に、年明けの1月に開催されるPTワークショップの紹介があり、約2時間にわたる講演とミニワークショップを終了しました。お忙しい中、また、遠方からご参加いただいた皆様方には感謝申し上げます。
なお、予定した講演とミニワークショップの終了後、引き続き32号教室で講師と参加希望者の間で、意見交換会を行いました。約1時間、TPだけでなくFDのあり方についても活発な議論が行われました。
[参考]案内ページ
(編集)尾澤 重知